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眼のなかの虹"アイリス" ~虹彩紋理を利用した技術~ (2006/3/ 1)

色鮮やかで神秘的なアーチ ― 虹。
虹という漢字の"虫"辺には、蛇、竜という意味があります。
虹の様々な言い伝え
虹を蛇(竜)の一種だとする考え方は、日本を含めて全世界でみられます。
- 中国
雨によって天地が結ばれ竜が水を飲みにくるときに虹ができるとされている - 南米
虹の両端は2匹の蛇の口に入っていて、2匹の蛇が天の池にかえると雨がやむ - 北欧
神話にでてくるビヴロスト(天地をつなぐ橋)であり、戦士した英雄が軍神の宮殿へ向かうとされている - 日本(沖縄)
赤まだらの蛇である"アメヌミャー"(雨のみ者)が天の泉の水を飲んでしまうため、雨が降らなくなる
ギリシャ神話では、天(神々)と地(人間)の2つの世界をつなぐ橋であり、地上界で問題が起こると虹の女神イリス(Iris)が橋を渡って解決に導いたとされています。ちなみにイリスが地上に降りた時の姿が植物のアイリス(アヤメ科イリス属)といわれています。
虹は様々な神話伝承の中でよく登場しますが、吉凶両方の言い伝えがあります。虹のメカニズムが解明されていない時代では、美しくもあり不気味な存在であったことがよくわかります。
身体の中の"虹"
人間の身体でも"虹"という漢字が使われる場所があります。虹彩(英語:irisアイリス)です。
虹彩を拡大・縮小することによって瞳孔(=ひとみ)の大きさを調節し、網膜に届く光の量をコントロールします。カメラでいうしぼりの役割をします。一般的にいう"ひとみの色"というのは虹彩の色です。茶色や青、緑などの色の違いは虹彩の色素(メラニン細胞)の量によるものです。
生体認証(バイオメトリックス)への利用
世の中が急速に便利になってきた一方で、情報セキュリティの重要性が改めて必要とされています。銀行のATMやインターネットなどで事件が起きているように、ID・パスワード、磁気カードなどによる個人認証には限界があるといえます。(漏洩、忘却、破損など)
そこで指紋や手のひら静脈などによる生体認証(バイオメトリックス)が注目を浴びています。生体認証は病気や怪我による大きな変化がなければ、改ざんや盗難されたり、忘れたりする心配がない点で優れています。
虹彩には人それぞれ特有の紋様があり、眼内の組織なので指紋のように外傷や摩擦の影響がないうえに、透明な角膜を通して外部から見えるという特徴が大きなメリットです。虹彩紋理は生後2年でほぼ完成し、手術や病気・外傷などの損傷がなければ変化がおこりません。
様々な生体認証の技術が開発・研究されていますが、虹彩認証は認識精度の向上や装置の小型化・低コスト化などにより、手のひら静脈認証などと並んで注目されている生体認証の方法です。
眼の手術でも虹彩紋理を利用
エキシマレーザーによる屈折矯正手術でも虹彩の紋理を利用したシステムが開発されました。
人間は座った姿勢と仰向けの姿勢では、眼球がわずかに(約2℃くらい)外側に回転することがわかっています。(眼球回旋)
そこでIR(虹彩紋理による補正システム)により、検査時に虹彩の紋理を撮影し、手術時はその紋理を照合することで眼球回旋を補正して手術を行います。
Wavefront-LASIK(ウェーブフロントレーシック)のように、精密なレーザー照射を行う場合、わずかなズレをも補正して手術ができればさらに治療の精度が向上につながるといえます。
(2006.03.01)

